公認会計士になるには、
短答式試験の合格 ⇒ 論文式試験の合格 ⇒ 監査法人や上場企業での実務経験&補習所の修了(修了考査の合格)
が必要になります。いわゆる会計士試験(国家試験)は論文式試験で終わりなのですが、正確には修了考査に合格して初めて公認会計士として登録できます。(論文式試験合格者は公認会計士協会「準会員」という扱いになります。)
今回は、この最後の砦(修了考査)について記載しました。
まず初めに
論文式試験合格後に、監査法人や事業会社で働きつつ、一般財団法人会計教育研修機構が運営する補習所に通い、補習所の修了要件を満たす単位を取得し修了考査の受験資格を得る必要があります。
通常約3年間補習所に通い、講義やe-learningを受講し、定期考査(テスト)や定期課題(小論文)で一定の点数を取ることで単位が取得できます。トータルで必要単位数を満たすことで、修了考査の受験資格を得ることができます。
最後の再考査が7月、8月に実施されるため、単位数が足りない人はなんとかここで単位を取得してください。
いつから勉強を開始するか
修了考査は2020年現在、12月中旬に実施され、合格発表が翌4月上旬に行われます。
補習所の単位数を満たしている人は、一般的に8月の第1四半期レビューが終わったお盆後くらいから勉強時間を確保できると思います。単位数がぎりぎりの人でも8月中に補習所の勉強を終え、9月からは時間が取れるはずです。
修了考査対策の勉強は、当然ですが1日も早く開始する方が有利です。優秀な人で1月以降から、大多数は8月以降から開始する人が多い印象です。11月中旬から勉強開始して合格する人もいますが、リスクが高いのでお勧めしません。(私は11月中旬から勉強して本当に後悔したので、遅くとも9月くらいには勉強を開始することをお勧めします。)
修了考査対策は、予備校の講座を申し込んで教材をこなすことになります。監査法人だとこの予備校代金を負担してくれますし、独学で挑む人はいないと思います。予備校は、TACか大原か2択になりますが、ほとんどの人がTACを選ぶので実質ほとんどの人がTACの教材で勉強しています。
ちなみに私は、大原で会計士試験に合格しているので、修了考査も大原で申込、TACの模試だけ追加で申し込みました。修了考査も、相対評価の試験になるため、多くの受験生が勉強している教材に目を通しておかないと不利になるという理由からです。
勉強方法
勉強法総論
修了考査は5科目(会計実務、税務実務、監査実務、経営実務、職業倫理)ありますが、試験の分量や時間の長さから明らかに重要性が違います。
それぞれの科目の勉強時間の比率としては、会計実務:3、税務実務:5、監査実務:3、経営実務:2、職業倫理:1のようになります。最も勉強すべき科目は税務実務、次に会計実務及び監査実務、最後に最低限負けない程度に経営実務と職業倫理を勉強するというイメージです。
会計実務(試験時間:3時間)
実務で監査や経理をやっている方がほとんどだと思うので、会計実務はテキストレベルの問題が解けるようにして答練を2~3回くらい勉強するできれば最低限のレベルに達するはずです。
実務での行っている有報の注記とかをしっかりやっていれば修了考査に活かせます。また、普段の実務でどれだけ会計監査六法を読んでいるかというのが試験に活かせると思います。
時間があれば、もっと会計監査六法を読めばよかったかなと個人的には思っています。
税務実務(試験時間:3時間)
税務は、論文式試験よりも試験範囲が広くなるため、最も勉強する必要があると思います。個人的な感覚的には、勉強時間の半分近くを税務に割いていたように記憶しています。
テキストを読んで理解し(思い出し)、答練を復習教材として2~3回くらいできれば最低限のレベルには達するはずです。
上記プラス、勉強時間を確保できる方は、講義を聞いてもよいと思いますが、正直あまり身になる講義はないと思うので、消費税と所得税、相続税(私は時間がなくほぼ捨てました)をどれだけ勉強できるかです。
いずれにしても合否を分けるのはテキストレベルの基本的な問題を確実に取ることなので、基礎的な理解を確実なものにするようにしてください。
監査実務(試験時間:3時間)
実務で監査をしている人は有利です。論文式試験の時のように、細かい基準を暗記する必要はないので、ある程度その場で書けるはずです。
答練2~3回と、テキストの読み込みができれば最低限のレベルになります。
私は、テキストよりも監査基準原文をなるべく読むようにしていました。暗記よりも理解で、実務でやっていた内容を基準の文言で確認していくようなイメージでした。
実務で監査をしていない人は、監査条文よりもテキストを読んで理解したほうが良いと思います。
経営実務(試験時間:2時間)
答練2~3回行い各財務比率の算定式を暗記すること、ITに関する頻出の条文(答練や講義にも出てきます)を暗記することが最低限の必要だと思います。
あまり時間を取れないと思うので、最低限必要なところだけ押さえておけば問題ないです。
職業倫理(試験時間:1時間)
これもあまり勉強時間を割けないので、答練と職業倫理の文言読み込みくらいで十分です。
時間をかけすぎないことが大事です。
まとめ
修了考査は相対評価の試験で、おそらく加点方式の採点をされているように思います。なので、空欄を作らないことが何より大事です。
何かを書けば1点でも加点される可能性がありますが、何も書かなければ絶対に加点されません。試験時間内に、どんなにわからない問題が出ても、持っている知識を総動員して何かしら書くこと、空欄を作らないことに留意してください。難しい問題が出て心が折られそうになったときにどれだけ頑張れるかが見られる試験だと個人的には思っています。
なるべく早く勉強を始めて、基礎的な問題を落とさないこと。論文式試験ほどの暗記は必要ないです。
修了考査の合格率が下がってきていますが、やるべきことは変わらないと思います。受験される方は、頑張ってください。
コメント