今回は簿記の私が実践していた勉強法を紹介します。おそらく、日商簿記の勉強法にも同様の方法が利用できると思います。(大原簿記専門学校に通っていたので、その内容が前提になります。)ポイントを4点記載しました。
目標
目標は、試験で出てきた論点については全て解ける。かつ、誰も解けない問題であると判断できる、解けるが試験の残り時間との兼ね合いで解かないと判断できるという状態です。
基本的な勉強法
基本的な学習法として、まずは講義を通して、テキストの内容を理解し、テキストの例題を解けるようにする。次にテキストに対応した問題集を解いてみる。この問題集は、テキストの内容をテキストとは異なる問い方をしているので、テキストの内容を深く理解するのに役立ちます。
そのあとに、もう一度テキストに戻り、その論点を通読することをお勧めします。その際に、問題集で解けなかったところや、理解が深まったことをテキストに記載しておきます。テキストさえ見れば、解き方や解く際の注意点や、理解が甘いところなどがすぐに確認できるようにコメントやメモ、下書きを書いておくことをお勧めします。
その後、答練(ステップ答練、短答答練、論文答練、公開模試等)を受けて、解きなおし、よくわからなかった箇所はテキストに戻り、新たな気付きをさらにメモします。これは簿記を学ぶ上での基本動作だと思います。
計算の下書きについて
簿記を解くうえで、計算の下書きが非常に重要です。減価償却費を計算するときの下書き、ストックオプションの計算の下書き、為替差損益、デリバティブ、リース、ソフトウェアの償却費、一株当たり利益、子会社、持分法、企業結合、事業分離等、それぞれの論点ごとに自分がどういう下書きをするかを決めておいて、答練のたびに同じ下書きを書いて計算することが大切です。
例えばリースを例にすると、オペレーティング・リースかファイナンス・リースかの判定を行うとき、リース料(リース債務)を計算するとき、リースバックの時、残価保証がある場合、リース料の前払いがあるとき、リース資産の減価償却費を算定するとき等が問われる可能性があります(答練で初めて出てきたものは、その都度復習の際に下書きを決めていきます)。
それぞれの場合すべてについてどういう下書きを書くかを事前に決めておいて、答練のたびに同じ下書きを行うことでミスをなくし、機械的に解けるようになります。これができるまで一つの論点(今回はリースを例にしてます)がわかった、理解できたとは言えません。
巷では、問題集や答練を何回転したというようなコメントをよく見かけますが、計算を定着させより早く解けるように訓練するために答練を結果的に回しているのであり、複数回答練を解くことを目的にしてはいけません。これができた論点は、上記の目標にある状態に近づける最短の方法だと思います。
”なぜ”を考える。
次のポイントは、”なぜ”を考えること、一言で説明できるかという観点で勉強することです。
将来キャッシュ・フローの割引現在価値は実効利子率(市場の利子率)で割り引きます、なぜでしょうか。
過去勤務費用と数理計算上の差異はどう違うのでしょうか。
自己株式の処分を行ったときに対価との差額はその他資本剰余金として処理するのはなぜでしょうか。
新株予約権が権利行使されずに失効した場合は、なぜ利益計上される(その他資本剰余金で処理しない)のでしょうか。
簿記で計算するときに、なぜそのような計算をするのかを即答できるだけの深い理解があるかどうか大事です。計算の背景がわかれば理論の勉強にもつながるため一石二鳥です。自分で自分に説明できるかどうかは良い勉強法の一つだと思います。
その他のテクニック
最後にテクニック的なことですが、問題文を読んだだけで解くのにどれくらい時間がかかるかがわかってくれば、かなりの上級者だと思います。
総合問題などで試験中に戦略的に解くべき問題と後回しにすべき問題が見えてくるからです。試験中に、時間さえあれば解けるのにということはよくあります。手を付けた問題の正答率が80%以上になれば簿記に関しては十分合格レベルだと思います。
逆に手を付けたのに正答率が低いという場合は、その論点の理解が浅いか、解くべきでない問題に手を付けている可能性があります。
試験が始まって、すぐにバチバチ電卓をたたき始める人がいますが、これは良くないです。解くべき問題かどうかを冷静に見極めながら解いていくべきです。ぜひ、この点は気を付けていただきたいです。
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